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「しょーがないな」
私はスカートのポケットから、ピンク色のハンカチを取り出した。私のお気に入り、伸に貸すには惜しい。
「サンキュー!おっ、なんか良い匂いだな」
伸はハンカチで顔を拭きながら、ニヤニヤと笑った。
「お二人さん、仲がいいな。だがな、天川。練習中凌賀の気が散るから、毎日教室の窓から、凌賀を見つめるなよ」
先生が、突然私に話し掛けてきた。
「ち…違います。伸…、凌賀君を見ている訳じゃありません」
「男女交際に、俺は立ち入らないが、部活中、コイツは天川ばかり見て、練習に集中しないからな」
先生が伸の頭を大きな手で、ガシッと掴んだ。
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