【一】秘密の片想い

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【星良Side】 私は駅前にあるお店で、抹茶ソフトを食べていた。ここの抹茶ソフトは絶品。一度食べたら癖になるくらい美味しい。真冬だって、全然平気だ。 「俺も座っていい?」 背後から声がして、その声に振り返る。 「伸、何で来るのよ」 「えっと…俺もストロベリーアイス、食いたかったから」 「嘘ばっか、甘い物嫌いな癖に」 「ってか、食いたくなったの!」 一歳年下の伸は、子供みたいに唇を尖らせた。ピッチでボールを蹴っていたサッカー部のエースだとは、思えない顔だ。 「あっ、私急用思い出した。先に帰るね」 玲子が食べかけの抹茶ソフトを、右手に握り締めたまま席を立つ。
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