【一】秘密の片想い

15/21
前へ
/560ページ
次へ
「ちょ、玲子。待ってよ。私も行くから」 椅子から立ち上がろうとした私の左手を伸が掴んだ。 「待てよ。アイス食うくらい付き合ってくれてもいいだろ」 「じゃあね、星良。バイバイ~」 「…玲子ぉー。もぅ…」 私は仕方なく、椅子に座り直す。透明のカップに入ったストロベリーアイス片手に、伸はニカッと笑った。 甘い物が苦手な伸は、プラスチックのスプーンで、ちょっとだけアイスを口に運び、顔を歪めた。 「甘っ…いらねぇ。星良、食えよ」 ストロベリーアイスのカップを、私の目の前に差し出す。 「ほら、嫌いな癖に。何で買うの?意味わかんない」 ぶつぶつ言いながら、私はストロベリーアイスに乗っかった苺を口に頬張る。
/560ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1881人が本棚に入れています
本棚に追加