【一】秘密の片想い

20/21
前へ
/560ページ
次へ
伸にバレてるの? 先生への気持ち… 今まで誰にも見抜かれた事ないんだから。 冷えきった体で外に出ると、小雪混じりの寒風に髪を掬われ、身を縮ませる。 「乗れよ。どうせ同じ団地だし」 伸は私に、自転車の後ろに乗るように促した。 「…けど」 「早く乗れよ」 私の手から鞄を奪うと、自転車のカゴに自分の鞄と私の鞄をほおり込んだ。 「わかったよ。乗るよ」 自転車の後部座席。 私はチョコンと腰をおろし、伸の引き締まった腰に右手を回した。
/560ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1881人が本棚に入れています
本棚に追加