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今日の空もなんの変わりもなく、小さな雲が群からはぐれてしまったみたいにぽつんと彷徨っている。
あ~あの雲どうなるんだろ?
そんなことを考えながら、一人校舎の屋上でぼーっとしているごく普通の16歳の少年。
下の階からガヤガヤと賑わう生徒たちの声が耳に届く。太陽の上がり具合を見ると、ちょうど今は昼休みなのだろう。
昼休みになったとたんに誰かに呼び出され、ここに連れてこられたかと思うと、次は一人で待たされている。
知らない顔の女子数名に半ば強引にといった感じだったから断ることもままならなかった。
早くしてくれないだろうか、飯食う時間がなくなってしまう。
ケータイの待ち受け画面で何度も時間を確認すると、同時に苛立ちがつのる。
それから少し後にキィと耳に障る音を立てながら、屋上の出入り口のドアが開く音が聞こえた。
「あ、あの、待たせてすみません」
そこから出てきたのは、さっきの数人の女子ではなく一人の別の女の子だった。
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