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「えっと」
ポリポリと頭をかきながら言葉を探すが、喋りが得意じゃない性格なためになかなか口を開くことが出来ない。
見た目ぱっとしない顔立ちで無口だが、彼は普通の男子よりはモテる方で、こうして告白されるのは六回目になる。
しかし、奇想天外にもこういうことになると賢志は『好き』と言われるまで相手の気持ちが読めないくらい昼行灯なのだ。
それに自分が地味にモテていることを自覚しないがために、本当に相手が自分のことが好きなのだろうかと警戒していまう。
そんなときに賢志は、それを確かめるために告白されたら必ず“やること”がある。
「なぁ、俺の手に触れて」
賢志はそう言いながら自分の手の平を女の子に差し出した。
「え、手…ですか?」
とっさに顔を赤らめた女の子は、何もない辺りをチラチラと見渡してゆっくりと手を伸ばした。
少し冷たく小さな手が賢志の手の平の上に乗ると、またしばらく沈黙が二人の間を走り抜けた。
「あの……」
溜まりかねた女の子は、恥ずかしそうに声をかけた。そのとき賢志はというと、女の子の手に触れたまま目を閉じて何かを確かめるようにじっと黙っていた。
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