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そして、ゆっくりとまぶたを上げると、不安そうな表情を浮かべる女の子にこれ以上不安がらせないようにと精一杯の笑みを浮かべる。
「ごめんごめん。早く返事してほしいよな」
「あ、いえ」
どうして今私が思ったことが分かったんだろ?
女の子はそう頭のなかで不思議に呟くと首を傾げた。
「どうして自分が今思ったことが俺にわかったか、不思議?」
「え!!?」
心で呟いた言葉を完全に読まれていることに女の子は声を上げられずにはいられなかった。
なぜ? どうやって? 頭のなかの思考回路がおかしくなりそうになり、唖然と頭一つ分背の高い賢志の顔を見上げる。
すると賢志は、まだ繋がれたままの二人の手を左手の人差し指で示した。
「俺さ、他人の体の一部でも触れれば“心を読む”ことが出来るんだ」
「……………」
言葉も出ないくらいに呆然と立ち尽くす女の子は、まるで夢でも見てるようなはっきりとしない目をしている。
「ま、そんな一言じゃ信じてもらえないだろうけど」
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