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これをやるのは六回目。これまでに告白してきた女の子たちには、自分の力のことを打ち明けてきた。しかし、誰もが顔や体には表さなくても、心は正直だ。
意識ではなんとも思っていなくとも、心のなかではそれを気味悪く思うみたいだ。
女の子にはなんの悪気もない。だが、心を読むことが出来る彼にとっては、このまま付き合っても虚しいだけなのだ。
「じゃ、俺はそろそろ戻るわ」
賢志はそう言い残すと、きびすを返して屋上の扉の方へと歩き出した。
すると、何か思い出したのか、立ち止まって女の子に振り返って声を張った。
「でも、君の俺に対する気持ちだけは本物だって分かった。ありがとう」
そして再びきびすを返す賢志。しかし、今度は女の子が彼を呼び止めた。
「待って!」
「ん?」
「私の名前、高翼美弥(たかつばさ みや)って言います。覚えといてくださいね。私、たった一度フラれたくらいじゃ諦めませんから!」
さっきまでとは違う、晴れ晴れとした…というか、自信に満ちた表情。まるで別人みたいだ。
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