第一章 銀の王子

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「――……ウス様……ユリウス様……」 「ん……」 窓から射し込む朝日の光と聞き慣れた呼びかけに彼、ユリウス・T・アスタルテはゆっくり瞼を開ける。 「おはようございますユリウス様。」 「おはようございますコリンズ。今日もいい天気だね?」 朝日によって光る銀色の髪を揺らしつつ上体を起こした状態で軽く背伸びをしながら尋ねるユリウスに若き人間の執事、コリンズははいと笑みを浮かべて一礼する。 「今日は要望通り軽めの朝食にいたしました。」 そう言うコリンズの後ろから一人のメイドが台車を押してユリウスのいるベッドの隣に寄せる。 台車の上には数個のクロワッサンと温かみを表す湯気をゆっくり上げるスープ、そして朝の目覚めにと用意されたコーヒーがそれぞれに合う純白の器にあった 「んん~、いい香りですね。」 脚に掛かっているシーツを寄せベッドに腰掛けるようにして朝食と向かい合う。 その時台車の先にいたメイドにありがとうと微笑んでユリウスがお礼を言うと相手は頬を微かに赤らめつつ深く一礼する。 「では、いただきます。」 それを見てからユリウスは丁寧にそう言ってから銀食器を手に食べ始める。
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