第十一章 ソレデモ キミヲアイシテル

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「っ…!」 ミュールは全力で馬を走らせる。 不意打ちとはいえ馬から落ち、リリアを連れ去られてしまった。 (リリア様、何処に…!) そのことにミュールは唇を噛み締めながら連れ去った者が走っていった方に向かって全速力で馬を走らせていた。 日はすっかり真上を過ぎて西の方へ少し傾いていた。 それまでずっと野道を走らせていた為に馬にも疲労が見えていた。 「ん?…」 その時、道に残っていた蹄の跡がふと右側へと曲がったいたことに馬を止めて視線をそちらへと向けた。 すると木々の間から何か建物らしいものが見えた。 「あれは…?」 馬から降り木々の間を抜けるとそこには確かに建物があった。 だがもう何年もほったらかしなのかあちこちが崩れ廃屋同然になっていた。 しかし… (!…あの馬は!) その建物の近くにいた一頭の馬を見てミュールは確信した。 なぜならその馬はあの時リリアを連れ去った者が乗っていた馬だったからだ。 (ここに、間違いないようですね…) そう思ったミュールは背中からアクスを取り出し戦闘態勢を取りながら慎重に建物へと近づいて行った。
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