第十一章 ソレデモ キミヲアイシテル

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建物に潜入する時、難しいのは間取りがわからないこと。 部屋がいくつあるか、ドアがいくつあるかによって隠れる場所は増減する。 ミュールはそれを熟知しているので慎重に、慎重に奥へと進む。 途中にある古い扉は蹴るかアクスで壊す勢いで開けては進んで行った。 「……ここは…」 一番奥の部屋に入った時、他と同じように誰もいなかったが一つだけ違うところがあった。 (…階段?地下室があるのか?) 部屋の真ん中あたりにぽっかりと四角い穴があり中を見ると下に続く階段があったことにその場でミュールは一旦考えるも 「はぁ…ふぅ…ここで止まっていても仕方ないですね。」 軽く深呼吸して冷静さを取り戻してからミュールは階段をゆっくり下りて行った。 石で出来た階段の為に多少足音が立ってしまうが極力静かに脚を降ろしてミュールは地下室へと下って行った。 「?…」 すると階段を下りた先には木製の扉があり隙間から明かりが漏れていた。 (ここで間違いない…) そう思ったミュールは一気に突入する為にアクスを振りかぶって構える。 (一…ニ……三!) タイミングを見計らって一気にアクスを振って扉を破りミュールは突入した。 「はっ!リリア様!」 「ぅっ……」 しかしそこにいたのは背中に火傷を負い床にうつ伏せで倒れているリリアだけしかいなかった。
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