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二人っきりになってからしばらくの間、ユリウスはただじっとリリアを見つめ時折額に浮かぶ汗をハンカチで拭き取っていた。
「……ん…」
「っ…リリア?」
それが3、4度目かの時、頬を伝う汗を拭ってあげた瞬間に聞こえた声にユリウスは彼女の顔を見る。
「ごめ……さい…」
「?」
微かに唇が動き何か呟いたのを聞いてユリウスは口元に耳を近づけると
「ごめん、なさい…ごめんなさい…許して……」
聞こえてきたのは謝罪の言葉であった。
何度も何度も、彼女は謝罪の言葉を呟き続けた。
「ごめんなさい…許して……皆…何処……ユリウス、何処に…いるの……」
「リリア…」
「いなく…ならないで……一人に、しない…で……」
左の目尻に溜まった雫が落ち、ポツ…ポツ…と枕を濡らしながらうわ言のように呟くリリア。
「…」
それを見ていたユリウスは膝を床から離し立ち上がればおもむろにリリアの身体に掛けている布団を軽く捲ると
「よっ、と…」
静かにリリアの隣へと寝転がる。
そして彼女の方を向き再び手を両手で握りながら囁くように言った。
「大丈夫ですよリリア。僕はちゃんとここにいます…母さんやコリンズやミュール、皆いますから、安心して休んでください。」
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