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次に目覚めたのはその日の深夜だった。
「――んん…」
小さく身震いしてから薄くだがユリウスは目覚めるとあることに気づく。
(…あれ?リリア?)
抱きしめる感触と温もりを感じられないことにユリウスは閉じていた瞼を開ける。
「……」
「あっ…」
今日は満月だったのか窓から淡い光が入ってくる中、リリアはベッドの上で座り込んで丸い月を眺めていた。
そんな彼女の背中が見えたユリウスは一気に覚醒し上体起こすと呼びかけた。
「…リリア。」
「……」
「?…リリア?」
二度呼びかけたが彼女は気づいてないのか振り返らない。
「リリア?どうしました?」
三度目の呼びかけをしながらユリウスはそっとリリアの肩に手を置くと
「っ!ひゃあっ!?」
「わっ!?」
いきなり尻尾と猫耳をピンと立て高い声で驚く彼女にユリウスも驚くも
「ぅっ!…痛……」
「あ、リリア!」
直後に踞るように身体を前に傾けながら痛がるリリアは見てユリウスは慌てて彼女の身体を支えた。
「リリア!大丈夫ですか?」
「っ…あ、ユリウス…まだ、ヒリヒリするけど…大丈夫。」
「何処が大丈夫なんですか?今はゆっくり寝てください。」
苦笑い浮かべて言うリリアにそう返してからユリウスは彼女をゆっくりと寝かせる。
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