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(…ユリウス、泣いてるの?)
しかしどれだけ声を押さえようとリリアの猫耳には間近というのもあってかしっかりと聞こえていた。
「……はい、終わりましたよ。」
しばらくして優しくも丹念に薬を塗り終えたユリウスは包帯を巻き直し流した涙を拭ってから終わりを告げた。
すると、リリアは痛まないようゆっくりと彼の方に振り返ってから恐る恐る尋ねた。
「…ユリウス。」
「はい。」
「その、さっき…泣いてた?」
「っ…それは……」
「目、赤くなってるし…」
そっと片手をユリウスの頬へと伸ばし触れればリリアはまた尋ねる。
「私の為に泣いてくれたの?」
「…はい。それと、自分の無力さに。」
問いかけに答えるユリウスの表情は無意識に悲しみと悔しさが出ていた。
そんな彼を前にリリアは首を軽く左右に振ると
「ううん、ユリウスは無力なんかじゃない。だって…」
そう言いもう片方の手もユリウスの頬に当てるとリリアは言った。
「私の傍にいて…私の為に泣いてくれたんだから…」
「っ!リ、リリア…」
その言葉と彼女の優しさにユリウスは我慢出来ず涙が溢れ出てはリリアの手を濡らした。
「ふふ、ユリウスも、泣き虫さん?」
「ん…お互い様、でしたね…」
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