第十一章 ソレデモ キミヲアイシテル

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* * * 「――はい、痕は残りますがもう大丈夫でしょう。」 「そうですか…」 「良かったわねリリア。」 それから数日経ち、薬とユリウスやコリンズ、ミュール達の看病によってリリアの火傷は普通に動く程度なら痛まないほどに回復していた。 「ペントも治療ご苦労様。」 「いえいえ、最初話を聞いた時は驚かされましたが精一杯治療させていただきました。」 エリュシア王妃の言葉に城の専属医師である小太りな初老の女性で熊の亜人、ペントは笑みを浮かべながら頭を下げる。 「ただ、完全に治るまでは薬の併用と激しい運動は控えてくださいねリリア様。」 「はい、ありがとうございますペントさん。皆さんも、ありがとうございます。」 ペントの指示に着替えてからリリアが頭を下げてお礼を言っていると 「あの~、もうそちらに行ってもよろしいですか?」 「はいはい、もういいわよ。」 廊下に続く扉の方から聞こえた声にエリュシアがくすっと微笑みながら了承の返事をするとすぐに扉が開きユリウスが足早にリリアの元に向かう。 「傷の具合はどうなんですペント?」 「先ほどリリア様に言いましたが、普通に生活する程度なら大丈夫ですよ。」 ペントの説明を聞いたユリウスはそうですかと深く安堵の息を出す。
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