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いつものように俺は自分の根城に居た。
最近では利用する本が少ないというよりも、得体の知れない生徒が住み着いていると言う噂で人が寄り付かないらしい。
「そんな生徒見かけないけどな・・。」
・・・タッタッタ
不吉な音が聞こえた。
「あ・アヤ君!」
「・・・理音だ。どうした?」
全速力で走ってきたのか、息が上がっている。
「・・助けて!ひ・人殺しに追われているの・・!」
「嘘だろ。」
「嘘なのです!」
嘘だった。
大根役者だった。見事なまでに・・・大根役者だった・・・。
「くふっ・・」
思わず笑ってしまうほどに。
笑ったのは久しぶりだった。
人をあざ笑うでもなく。
自分に嘲笑するでもなく。
ただ笑ったのは・・久しぶりだった。
「リオ君でもそんな風に笑うんだね。惚れちゃうくらいに可愛いね。迫真の演技したかいがあったよ。」
そう言いながら恋歌は満面の笑みを浮かべていた。
その笑顔はとても魅力的に思えた。
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