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パパが告白をしてきたのよ、と頬を赤らめて嬉しそうに言った。
暁斗はそんな母親を見て、告白されるということは嬉しいものなのか、と考えた。
「俺、千景のこと好きなんだ」
「…暁斗、人を好きになるのはいいことよ。でも、苦しい時がいっぱいある…」
「…………」
「それを乗り越える覚悟があるなら、千景君に告白しなさい」
暁斗の男っ気は多分、母から受け継がれただろう。
暁斗の母は、どんな時も自分の意思を貫き通していた。
そんな母に言われた言葉が、暁斗を行動させた。
千景の7歳の誕生日。
暁斗は告白をした。
「俺は千景が好きだ」
「……えっ」
「他のやつらみたいに、千景をイジメないし、大切に思ってるよ」
「………暁斗」
「俺は男の子で、千景は気持ち悪いかもしれない。だけど、俺の気持ち、知ってて欲しい」
顔から火が出るかと思った。
それぐらい顔が熱かった。
動悸が激しくて、手が汗ばんで、千景の表情が気になるけど顔が見れなくて。
始めてのことだらけで、不安になった。
「………僕も暁斗のこと好き。だけど、同じ好きかどうか、わかんない」
千景からの返事はチクリと胸に刺さって、抜けなかった。
母が言った苦しい時とは、このことだった。
そして、千景は何も言わず、フランスへと引っ越したのだ…。
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