9 まなざし

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 カナカナカナ……  遠くで、鳥の鳴き声が聞こえた。  西の空は、朱色に染まっている。  夜の闇と、昼の光が混じり合う、ほんの束の間の時間。  すべてが朱色に染まっているなかで、一人の少女が、空に向かって手を合わせ、祈っていた。  彼女のすぐ隣には、井戸がある。 「―泉!」  そんな彼女を、呼ぶ声がした。  少女は目を開け、声がした方に顔を向ける。 「頼家様」  自分の名を呼んだ人物を認めたとたん、少女は笑みを浮かべた。  だがそれは、どこか哀しげな笑みだった。  一方、彼女を呼んだ少年の方も、どこか哀しげな笑みを浮かべ、少女に近寄ってくる。 「ここにいたのか、泉」 「―はい」
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