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「……姉上の熱、まだ下がらないのか」
「……はい」
少女は、少年の言葉にうつむきながら、こくんと頷いた。
「そうか」
少年の方も、それにつられるように、声を落とす。
「じゃあ、チビどもの見舞いは無理だな」
「……頼家様」
「あいつら、いつも『姉上のご気分が良くなってからな』と言えば、納得していたんだ。でも……今回ばかりは、『姉様のお見舞いに行く!』ってきかなくてなぁ。侍女達も困っていた」
「……」
せつなそうな少年の声に、少女は目を細めた。
「なあ……泉」
「―はい」
「姉上にとって、俺達の存在は、意味がないのかもしれないな」
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