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この二人は、自分と同じ痛みを分かち合った人達だった。
そして、少年と少女は、その痛みを知らない者。
でも、自分を案じてくれる者。
「あ、いた。兄様、泉!」
いつのまにか、意識は先ほどの風景に戻っていた。
お互いの手を握り合っている少年と少女を見つけ、幼い女の子と男の子が、彼らに近寄ってきた。
「まあ、三幡様、千幡様」
「お前ら、こんな所まで何しに来たんだ」
二人は慌てて手を放し、女の子と男の子に向き直る。
二人とも、微かに頬が赤い。
「あのね、あのね、泉」
しかしそれには構わず、男の子の方がぴょんっと、少女の膝に抱きついた。
「千幡様?」
「ねえさまのね、おみまいをしたいの」
そして、無邪気な声でそう言った。
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