9 まなざし

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 この二人は、自分と同じ痛みを分かち合った人達だった。  そして、少年と少女は、その痛みを知らない者。  でも、自分を案じてくれる者。 「あ、いた。兄様、泉!」  いつのまにか、意識は先ほどの風景に戻っていた。  お互いの手を握り合っている少年と少女を見つけ、幼い女の子と男の子が、彼らに近寄ってきた。 「まあ、三幡様、千幡様」 「お前ら、こんな所まで何しに来たんだ」  二人は慌てて手を放し、女の子と男の子に向き直る。  二人とも、微かに頬が赤い。 「あのね、あのね、泉」  しかしそれには構わず、男の子の方がぴょんっと、少女の膝に抱きついた。 「千幡様?」 「ねえさまのね、おみまいをしたいの」  そして、無邪気な声でそう言った。
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