399人が本棚に入れています
本棚に追加
「千幡様、それは」
「無茶を言うな、千幡。姉上は熱が高いし、意識もない。見舞いは、まだ無理だ」
「う……ん」
だが、少年は厳しい声で男の子を制した。
男の子は、不満そうに少年を見上げる。
「兄様、それはわかっているの。私も、千幡も、ちゃんとわかっている」
そんな男の子の不満を、姉である女の子が、自分の気持ちを交えて、代弁した。
「だったら、わがまま言うな。姉上のお加減がよくなるまで、見舞いはだめだ」
「うん。でも、今回だけはだめなの」
「三幡?」
「三幡様?」
女の子の言葉に、少年と少女は、怪訝そうな表情になる。
最初のコメントを投稿しよう!