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「なんか、違うような気がするの。うまく言えないけれど、姉様、このままじゃ私達のことを忘れて、違う場所に行っちゃうような気がするの」
「うん、そうなの」
女の子と男の子の言葉に、二人は顔を見合わせた。
「いつもだったらね、兄様の言う通り、姉様のご加減が良くなるまで待てるの。でも、今回だけはだめなの。待てないの」
「まてないの」
「三幡……千幡……」
必死になって言い募る男の子と女の子に、少年は返す言葉がないようだった。
「わかりました」
しかし少女の方は、柔らかく笑いながらそう言った。
「少しの間だけなら、お見舞いをしてもよろしいでしょう」
「本当!?」
「わーい!」
少女の言葉に、男の子と女の子は歓声を上げた。
「いいのか? 泉」
それに比べ、少年はためらいがちに少女に尋ねる。
「ほんの少しの間だけなら、かまわないと思います。それに……」
「泉?」
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