9 まなざし

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「なんか、違うような気がするの。うまく言えないけれど、姉様、このままじゃ私達のことを忘れて、違う場所に行っちゃうような気がするの」 「うん、そうなの」  女の子と男の子の言葉に、二人は顔を見合わせた。 「いつもだったらね、兄様の言う通り、姉様のご加減が良くなるまで待てるの。でも、今回だけはだめなの。待てないの」 「まてないの」 「三幡……千幡……」  必死になって言い募る男の子と女の子に、少年は返す言葉がないようだった。 「わかりました」  しかし少女の方は、柔らかく笑いながらそう言った。 「少しの間だけなら、お見舞いをしてもよろしいでしょう」 「本当!?」 「わーい!」  少女の言葉に、男の子と女の子は歓声を上げた。 「いいのか? 泉」  それに比べ、少年はためらいがちに少女に尋ねる。 「ほんの少しの間だけなら、かまわないと思います。それに……」 「泉?」
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