隣人

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僕は一人の時も時折その壁を叩いてみたがいつも結果は同じだった。 平日の昼間でも深夜でも。 壁を叩く度に僕は隣人が気になって仕方なかった。 いったいどんな人物なのか 男なのか女なのか 何をしている人なのか 何故どのような時間帯にもいるのか 何故こちらが叩いたのをそのまま真似してくるのか 挙げればきりがなかった。 だが、たまに訪ねてみても出てきてはくれなかった。 ある時、噂を聞いた。 隣人は人付き合いの苦手なオタク系の人間らしい。独り暮らしで仕事は主に家で出来ることをしていて、なるべく人に会わないようにしているとか。 確かに僕がこのアパートに住み始めて半年以上経つというのに一度も姿を見たことがない。それどころか隣から聞こえる音はあの壁を叩く音以外一切しなかった。 もはや不思議と言うより不気味だった。 それでも僕は壁を叩いた。
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