隣人

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隣人

今年から晴れて大学生となった僕が念願だった独り暮らしにも少し寂しさを感じるようになっていた頃だった。 初めて友人を家に呼んだ時に浮かれて騒いでいたのが気にさわったらしい、まだ見ぬ隣人がうるさいと言うように壁をドンッと叩いた。 それからも僕は寂しさをまぎらすように度々友人を招いたが、いつも騒いでは隣人に壁を叩かれた。 本当に迷惑なら大家を通じて注意があるだろうと僕はそれほど気にしなかった。 ある日、僕の友人の一人がそれを面白がってこちらから壁をドンッと叩いた。 すると、ドンッと向こうが叩いた。 ドンッ、ドンッと叩くと ドンッ、ドンッと返ってきた。 その後も2、3試したがやはり壁はこだまのごとく回数やリズムまでもそのまま返してきた。 不思議に思った僕は友人と共に隣人を訪ねたが出てこなかった。 居留守を使われたらしい。
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