シーン1.ある日の平日

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――…2分後 「……真紀?」 「ん?」 「ここ、何?」 やけに薄暗い、もろに"そっち系"の様々な看板が立ち並ぶまぁ広くも狭くもない通り。 何故かそんな入り口に巧馬は真紀と共に立っていた。 怪しい通りの一番手前には、『ババロア通り』と書かれた半壊気味の看板が"落ちて"いた。…命名した人はババロアが何か分かっているのだろうか。 「あぁ言うの忘れてて悪かったな! 借りたビデオ返すの今日だったってさっき気が付いたんだよ~!悪ぃんだけど、ちょっと返却してから服屋でいいか」 「いや……まぁ、別に..」 「あんがと!…あ、それとついでに教えてやるな?」 真紀は言うとすたすたと歩き出した。 巧馬もそれについて行くように追いかける。 「ここは、白浜町のババロア通り..まぁみんな『桃浜通り』って呼んでるんだけどな」 「桃浜?」 「そ。まぁ、この通りは"そういう"店や何やらばっかりだから、ピンク通りだのアダルト通りだの呼ばれてて… で、『白浜町のピンク通り』ってのが一番定着して.結果『桃浜通り』ってわけ」 巧馬はふぅんと返事をしつつ、周りのビルや看板を眺めた。 どれも随分古そうで、余計な妖しさをかもし出している。 「あ、ここ ここ! ここ、超穴場で品揃えハンパないんだよ!」 真紀はそういうと手前にきた明らかなAVショップの自動ドアを堂々と開けた。 「…おま」 「巧馬も困ったらここ来いよ☆じゃ、ちゃちゃっと返却してくるわ」 ―――誰が困るか..って言うか… また一つ夢を壊された気がするのは俺だけであろうか。 初恋の子がまさか、こんな変態(というと言い過ぎか分からないが)男だったなんて…… やはりショックが未だ拭えない。 .
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