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――――翌日.
穏やかな休日の昼下がり。
巧馬は一人、桃浜通りの入り口に立っていた。
「………」
相変わらず人通りは少なく、古ぼけた街並みだけが並んでいる。
―――一人で来ると、こんなに入りづらいもんなんだなぁ..
誰が見ている訳でもないのに、つい辺りを見回して踏み出すのを躊躇ってしまう。
「…~~」
はぁ、と一つ息をついて巧馬は歩き出した。
しかし、巧馬は此処に来てどうしようという気も特になかった。
気がついたら此処に来ていた.といえば言い過ぎかもしれないが……
"あの子に会いたい。"
ただ衝動的に、本能のようなものに突き動かされたのだ。
幼い顔立ちの少女だった。巧馬と同じか.もしくは年下の可能性もある感じだった。
何故そんな少女が"あんな"店で働いているのだろう。
―――会って俺は、"どうしたい"んだ?
例の風俗店ビルの前に立ち、巧馬は自分自身に問いていた。
見上げると、あの窓は閉まっていた。
此処に来たということは、彼女を買いに来たのだろうか。
そんなつもりは――
彼女と話したい?そうだ。ただ、俺は彼女を"知りたい"。
声を聞き、あの瞳を.肌を.傍で感じたい。
彼女がお金に困ってあの店で働いているのならば、手助けだってしよう。自分で言うのもなんだが、俺の家は割と金持ちに入る部類だ。
彼女が望むのなら、駈け落ちだってしよう。
知らず知らずの内に巧馬はどんどん想像の世界に入り込み、突拍子のない恐ろしいことさえ考え出してしまっていた。
普段の自分では信じられないようなことを考えていたことに気づき、巧馬は我に返る。
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