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「すいません、眼帯でしっかり前が見えていませんでした」
"それ"は、いわゆるゴスロリ…というのか、黒やら薔薇やら何やらとごちゃごちゃとした.派手なヒラヒラふわふわのワンピースを着た小学生か中学生か、それぐらいの風貌の子供だった。
真っ黒のスーツケースをゴロゴロと引いていて、賑やかでも割と落ち着いた雰囲気のこの駅前ではなんというかかなり…不自然な感じだ。
「き..君、気をつけてくれよ、全く」
「いやぁすいません、お姉さん.おじさん」
つややかな黒髪に良く合うレースのついた眼帯もたぶんファッションの一部なのだろう。
明らかな日本顔だが、真っ黒なショートヘアーと瞳.綺麗な白い肌が不思議なほどにその格好に似合っている。
―――お人形みたいな子…
彼女は機械的にニコッと笑うと、軽く会釈をして通り過ぎて行った。
「…今の子は分からんなぁ..」
「…あッ、ほら、行こっ?」
腰を折られてしまった、とはっとした女は急いでまた男を引っ張っていった。
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