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「いや、意味が分かりません」
「だってさー、ヒョンの言うことにいちいち反応するし」
「それは…っ…」
「ほぉら、図星だ」
違う。違うんだ。
僕は、ジェジュンさんに照れていた訳じゃない。
彼の内に秘めた美しさが、あの人に重なってたから。
どこか、神秘的というか読めないというか。
よくわかんないけど、僕の頭の中には常にあの人の顔があった。
『ジュンスー…、喉乾いたぁ…』
そう言って、僕に抱きついた彼。
その時の、僕の心臓の煩いことといったらそりゃあもう尋常じゃなかった。
それと同時に沸騰でもしたんじゃないかってくらい熱くなる体。
さっきも確かに熱くはなった。
でも、あの時と違って僕の心臓は至って正常。
「何が、違うんだろう……」
「ん?なにが?」
「ある人の笑顔を見るだけで、僕の心臓がとてもうるさくなるんです……。それと同時に、これでもかって言うくらい苦しくなる…」
「恋、だな」
菜箸を片手に、リビングの入り口に立ちながらジェジュンさんが言った。
「絶対恋だよ、それ」
恋?
この僕が?
僕の目の前で、僕の父さんに抱かれたあの人を?
ありえない。
はずなのに――、
どうして僕はこんなにも、
あの人の、笑顔ばかりを思い出しては、胸を躍らせてるの――?
、
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