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誰が、故郷の変わり果てた姿を想像できただろう。
勿論、私も、想像出来るわけもなく、この日、地震が怒る五分前、母と一緒に卒業式の際借りた帯を返すため親戚の叔母の家に居た。
玄関を開け、叔母の飼い犬を撫でて、中へ入ろうとした時に、テレビから聞きなれない警告音がなった。
その音がなりやまないうちに地震が来た。段々大きくなる地震が怖くて、即座に靴を履き直し外へ飛び出した。
幸い叔母の家の駐車場は、開けていて落ちてくるような物は無かったが、周りが、飲み屋だったので、皿が割れる音がしたり、店の人たちが出てきて、皆駐車場に固まって地震が終わるのを待っていた。が、立ってられないくらい揺れ始まっても叔母が家から出てこず、私は、
『叔母ちゃん』
と、大声で呼んだ。
その間も、目の前で電線が切れたり、店の看板が落ちたりしていた。
やっと、大きな地震が終わり、母と帰ろうと車を走らせた矢先、大きな余震が何度も続き、初心者マークの私は、運転するのが怖くなり、家の近くまで母が運転し、途中で交換して帰った。
運転中も余震が続き、道はぐにゃぐにゃに曲がってしまっていた。家の近くに火力発電所があり、その横に、川が流れているが、そこにあるはずの水が全然なかった。
家に着いたら、私は、海の方にあるお墓を見に行き、母は、家の中を見てくる事を決めていたが、家の前まで来ると近所の人が逃げていて家に入れなかった。
火力発電所の川に水が無かったのと、先ほどの大地震、近所の人が逃げる姿を見て、母と私は、津波が来るんじゃないかと判断。近所の人達の後を追い、高台にある祖父母が所有している畑へ逃げた。
畑には、同じ地区の人達が集まっていて、車から出て、家の近くに住む人の近くに居た。その矢先に大きな爆発音が鳴り響いた。皆、その音に不安になってる中、作業着を着たおじさん達が、集まって来て、
『津波がくるぞー』
と言いながら少し下にある人の畑までさがり小高い丘に登っていた。
私も、母をその場に残し、情報を得るためおじさん達がいる丘に登った直後、第2波が畑の近くまで来た。
おじさん達がそれを見て、
『もっと上に逃げないと車が流される』
と、言っていて、一目散に自分の家の畑へ行き、車の中を見たが母が見当たらない。
不安になって母を半泣きになりながら大声で呼んだ。
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