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机にべったり懐いていると、頭の上から声をかけられた。女子の様だが、三枝さんではない。
「六田くん?」
顔を上げ、声の主を確認する。
腰ぐらいまで伸ばした髪を、左側でゆったりと一つに編んで肩にかけてある。清楚というか、おっとりした感じの娘だ。
「ごめん。え~と…」
「わたしは二階堂<にかいどう>。同じクラスだよ。美弦<みつる>ちゃんに頼まれたんだけど」
「みつる…ちゃん?」
誰の事だ?
「三枝美弦ちゃん。クラス委員の」
「あぁ、三枝さん」
「それで、六田くんはお昼お弁当?」
「いや、食堂も購買もあるって聞いてたから、弁当じゃないんだ」
俺の返事を聞くと彼女はにっこりと満面の笑みを浮かべた。
「それなら、今日は購買に案内するね。食堂だと、ゆっくりできないかもしれないし」
確かに。教室でこの状況なら、食堂なんて公共の場所だともっと大変だろう。
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