プロローグ

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  「おはようございまーす。皆さん、時間はまだ大丈夫ですから、列を乱さないように、お願いしますねー」  四月。満開の桜並木を抜けた所にある、高校の校門。  今日から新学期。学生達の登校風景。  --ここまでは普通。  しかし、校門を抜けた先にには長蛇の列。他の学校では見られない光景ではないだろうか。 「新二年生はロープの右。新三年生はロープの左の列に並んでくださーい」  列に並ぶ学生達は、やや興奮気味のようである。  ロープの片側に並んでみよう。  列の先には青い箱と赤い箱。おのおの十……いや十二づつあるようだ。  生徒達は順番に箱に手を入れ、何かを取り出している。 「くじを引いた方は、速やかに教室に移動してくださいねー」  どうやら、くじ引きだったらしい。 「くじは各教室の回収ボックスに入れてください」 「五か。お前どこ?」 「おれ、七。今年は敵だな」 「あぁ、離れちゃったね」 「今年はどんなメンツなんだろ?」  くじ引きという関所を越えた生徒達の反応は様々である。  が、この光景は、どうやらこの学校では普通の事みたいだ。  ちょっと変な学校。  
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