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その時、職員室中がどよめいた。
「うゎっ」
何事かと辺りを見回す。
頭を抱える教師。地団駄を踏む教師。意味不明の雄叫びをあげる教師--。
「あ。私のクラスですね」
意味不明な行動を取る教師の中、何も起きていないかのように振る舞っている教師が一人。
「ぼくも、これで失礼します。忙しくなりますので」
やっぱり動じてない男子生徒が一人。法月に軽く頭を下げ、足早に去っていった。
動きは機敏なんだな。
…じゃなくてっ!
「この騒ぎはいったい……」
「さ。そろそろ教室に向かいましょうか。朝のホームルームが始まってしまいます」
法月は、彼のだとおぼしき机から名簿を手に取ると、再び、ついて来るようにと俺を促す。
廊下に出て扉を閉めると、一気に喧騒が遠くなった。
「あぁ、そうそう」
俺の担任になった(らしい)法月が、くるりとこちらに向き直り、ポンポンと肩を叩きこう言った。
「このくらいの事で慌てふためいていてはダメですよ。気をしっかり持ってくださいね」
全然慰めになってねー…。
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