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泣いたのは、最初から気付いてた。
『碧君…?』
温もりを感じるような、橙色に包まれた部屋の明かりにキラリと輝る彼の瞳。
前触れの無い涙に動揺を隠せず、無遠慮に眺めてしまった。
『ん、なんでもない、…眠くて』
そう応える彼の眼はごまかせない程に潤んでいるというのに。
俺を気遣っているのか。
寝よう、と告げると強引にベッドへと向かって行ってしまった。
シーツを頭から被って。小さく体を丸める。
『…もう、寝るの…?…碧君』
手を伸ばせば届く距離で。なのに妙に空間を感じる背中に向かって、そっと声をかける。
…泣いて、…いるんでしょ?
必死に隠そうとしてる貴方の背が、ふるえてるよ?
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