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昔弁当屋で働いていた頃、若い女の子(自称文学少女)に質問された。
『ラブとアガペーの違いってなんですかね?』
私は、答えた。
『そもそも、ラブとアガペーの元の意味が違うよ。アガペーは私なりの解釈かも知れないけど、ラテン語から来る宗教用語。元々日本に入ってきた時に適当な言葉がないから、【愛】と訳したためにラブと混同しやすい。もしも、大きく譲って、【自己犠牲の愛】と解釈してさらにそれを男女の愛に当てはめたとしても、男女間での【愛】に【自己犠牲の愛】を貫ける恋愛は有り得ない。と思う。』
そしたら、彼女は言った。『弁当屋でアガペーの話をして通じる人がいると思わなかった。』
と。
彼女は自分の知識を披露したかっただけらしい。
私が男女間の【愛】で【自己犠牲の愛】が有り得ないと思ったのは、男女間ではいつか別れもあるだろうし、飽きも来る。
その中で自分を犠牲にして相手に最後まで尽くし得ることは、ほとんどの人が難しいと思っていたからだ。
例えば、相手が自分を裏切っても、相手のために自分の命が無くなると分かっていても、変わらず愛情を持ち続けることが出来るのか。
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