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仕方ないから手を繋ぐ。途端に手汗をかいたけど仕方ない。迷ってしまうから、本当に仕方ない。
けどそんなに長く仕方ない思いをする必要は無かった。葦の森が開けて、目の前にどうと言うことも無い景色が広がる。
大きな池が夏の陽光に煌めいて、時々何かの魚が跳ねて、水面を渡った涼しい風が吹く、本当にどうと言うことも無い場所。なのに、綺麗だと思った。
「昨日見つけたんだ。凛ちゃんに見せたいと思って。……ごめんね、凛ちゃん」
おそらく五日前に私が怒ったことについて、謝ってるんだろうけど。私だってなんで怒ったかわからないのに、なんで隆彦が謝るかな。
せっかく謝ってあげようかと思ったのに、謝れなくなっちゃったじゃない。
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