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きっかけは単純、夏休みの予定を聞かれたから。今年も海に行こうかと言おうとした瞬間、私の脳裏にある夏の情景が浮かんだ。
くしゃくしゃになった髪から滴る汗、私の手を引く日焼けで真っ赤になった腕、いつも楽しそうに細められた目。
いつの間にか商店街のど真ん中で立ち止まっていたらしい。2人が不思議そうな顔をして私を見ていた。
「凛、どした?」
彼女を見てると、全然似てないのに何故かあいつを思い出す。何となく惹かれたのは、そういう理由なのかな。
だからかもしれない。私の若干恥ずかしい思い出を、この2人に話したいって思えたのは。
「……ちょっと、聞いて」
話をするのは苦手だけど、少しずつでも言葉にしてみよう。この胸に降って湧いた、決意が揺るがないうちに。
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