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「凛ちゃん、僕、来月引っ越すんだ」
あの馬鹿がそんなことをとろんとした口調で言ったのは、修了式からの帰り道だった。
いや、おかしいなとは思ってた。だって毎年毎年この馬鹿は、夏休みはどこそこに行こうだのって五月蝿いのに、今日は静かだったから。
正直意味がよくわからなかった。だっていつも通り校門を出て最近出来た国道を渡り、お婆ちゃんがやってる駄菓子屋で何か買わせようとしていた矢先、これだもの。
「は?」
「お盆前には行くってさ。母さんのね、実家の近く」
隆彦は聞いてもないことをぽろぽろと語り出す。ちょっと待って、お盆前? あと、1ヶ月も無いの?
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