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「凛ちゃん、遊びに行こうよ」
そう言って笑う馬鹿が目の前に。玄関を開けたら何事も無かったかのように居るなんて、本当に食えないやつ。
この暑い中、長ズボンを穿いて自転車を漕いできたらしい馬鹿の白いシャツは、汗で肌にくっついている。
中学生にもなって女の子と遊ぶなんてどういう神経してるのかしら。ため息をつきながら、部屋に麦藁帽子を取りに行った。
「今日も暑いね。昨日の雨、かな? むしむしする」
「……なら短パン穿きなさいよ」
私がそう言うと隆彦は自転車止めを上げながら、蚊に刺されてぼこぼこなんだ、と言って笑う。
いい気味だと思いながら隆彦の後ろに跨がり、走り出す自転車から夏の濃い青空を見上げた。
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