縛られた人形

‐お気に入り‐

「何でもありません、続けて下さい」

そう言われてしまえば、引き下がるしかない。

怖い……、それが痛いほど伝わってくる。

何も出来ない自分がもどかしくて彼女に申し訳ない気持ちで一杯だった。

他の生徒は、早く授業を進めろ、とか日常的なことだからと全く気にしていない様子だった。

気にしすぎなのだろうか、いや違う。

皆が無関心すぎるのだ。

「先生……成城さんのことはもういいから授業再開して下さい」

ある女子がそう言って立ち上がった。