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「あーぁ、終わっちゃったよ」 「成城さんのせいよ」 沢峰さんの一言がきっかけで皆が瑠亜を睨む。 視線が痛い。 私は何もやっていない、 あの時…… 「碧君、教科書持ってきてないの?」 そう尋ねた。 けど無視されて仕方なく、自分のを見せようとしたが 手元が狂って机にあった物が全て床に落ちてしまったのだった。 遅い、と言われたけど何も言い返せなかった私は、ごめんなさいと何度も謝っていた。 無意識のうちに。 視線を反らして教卓の方を見たが先生の姿はなかった 「何よそ見してるのよ?」 勢いよくビンタがとんできたのも丁度その時だった。 誰? 叩かれた弾みで、足を滑らせ崩れるように倒れた。 数秒間、動けず固まっていた。 そしてようやく、向き直り相手と焦点があった。 「安藤さん……」
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