‐お気に入り‐

5/21
前へ
/35ページ
次へ
「碧君……隣よろしくお願いします」 瑠亜は静かに腰を下ろそうとしたが、ジロッと睨まれ思わず尻餅をついてしまった。 急いで立ち上がろうとするのだが、膝がカクカクと震えそれどころではなくなっている。 「いつまで座っているつもりだ、それとも床で授業を受ける気か?」 凄みのある声が飛んでくる。 彼はまともに目を合わせようとはしなかった。 ずっと立ち上がれずにいた私を引き上げてくれたのは、担任の大澤しいな先生。 「なにやってるの?早く席に着きなさい」 口調は厳しかったが、差し出された手はとても温かく、優しさを感じた。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加