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そこから数十分、僕と彼女は、ひたすらクッキーをかじった。
大袋で、三、四日はもつかなーと思っていたクッキー、1日で消費。
正確には、一時間。
食べてる途中、彼女は、僕が一枚食べてから、クッキーを食べていることに気付いた。
ー一応、遠慮してるんだ……。
一応、だけど。
普通、他人のお菓子、パクつかないし。
食べ終わって、空になった袋を、名残惜しく思いながら畳んでいると、その彼女から、幸せそうな声で話しかけてきた。
「はあぁーっ、美味しかった! 助かりました。朝、寝坊しちゃって、朝御飯食べられなかったんです。」
頭をガシガシかきながら笑う彼女は、フェミニン系の洋服に、かごバックを持っていて、いかにも「今風」だった。
「あ、私、日生中央大学の一年、板倉ルイです。ルイって、こう書くんですよ。」
彼女はそう言って携帯を取りだし、プロフィール画面を見せた。
「板倉 流唯」
名前の下には、普通に電話番号やら、メールアドレス、住所等がのってる。
「ち、ちょっ!」
思わず画面を手で覆い、携帯を戻させた。
「あ、近眼でしたか?」
「違うっ!」
「じゃあ、乱視?」
「違うってば!」
なんだ、この人ー?
「普通、初対面の赤の他人に、パーソナルデータ教えないの!」
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