第一章

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僕は小さい頃から、 兄さんの背中ばかり追いかけてきた気がする。 兄さんに早く追い付きたい、 そう思えるほど完璧な兄だった。 真堂シュウジ。 それが兄さんの名前だ。 兄さんは少女マンガから飛び出してきたような男だった。 容姿端麗、 頭脳明晰、 スポーツ万能の上、 家族想いでとても優しかった。 小学生の頃は、 そんな兄さんが自慢だった。 友達みんなが、 ジュン君のお兄さんみたいな兄弟が欲しかったと言った。 僕は兄さんの弟というだけで鼻が高かった。 兄さんは僕に何でも教えてくれた。 勉強もスポーツも。 兄さんは自分が何でも出来る事を鼻にかけたりはしなかった。 兄さんは教えるのも上手で、 知っていることは余すことなく僕に教えてくれた。 おかげで僕は同年代の友達と何をしても負けなかった。 どんな教科のテストも、 どんな種目のスポーツも。 僕が兄さんのおかげだというと、 決まって兄さんは、 「それはジュンの才能だよ。」 と言った。 そんな兄だった。
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