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僕は小さい頃から、
兄さんの背中ばかり追いかけてきた気がする。
兄さんに早く追い付きたい、
そう思えるほど完璧な兄だった。
真堂シュウジ。
それが兄さんの名前だ。
兄さんは少女マンガから飛び出してきたような男だった。
容姿端麗、
頭脳明晰、
スポーツ万能の上、
家族想いでとても優しかった。
小学生の頃は、
そんな兄さんが自慢だった。
友達みんなが、
ジュン君のお兄さんみたいな兄弟が欲しかったと言った。
僕は兄さんの弟というだけで鼻が高かった。
兄さんは僕に何でも教えてくれた。
勉強もスポーツも。
兄さんは自分が何でも出来る事を鼻にかけたりはしなかった。
兄さんは教えるのも上手で、
知っていることは余すことなく僕に教えてくれた。
おかげで僕は同年代の友達と何をしても負けなかった。
どんな教科のテストも、
どんな種目のスポーツも。
僕が兄さんのおかげだというと、
決まって兄さんは、
「それはジュンの才能だよ。」
と言った。
そんな兄だった。
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