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キィィ。
会議室のドアがもう一度だけ開く。
それは、サディクとティノには誰だか分かっていた。
今日、会議に遅れると言っていた男は、骨太な身体に似合わず可愛い顔立ちをしていてくすんだクリームの髪をしていた。
そして男は、申し訳なさそうな顔をしながら、ひょっこりと顔を出した。
「あのー、、、遅れちゃってごめ....あれ?みんなは?」
「あ、イヴァンさん。また、何時もの喧嘩です。でも今日は、みんな帰っちゃいました。」
イヴァンと言われた男は、ティノが話した事に納得したあと口を開いた。
「そっか....やっぱりアルフレッド君が言うことは、アーサー君には信じれないんだね。まったく、元ヤン眉毛にも程があるよ。」
どかっと、足を組み敷き椅子にすわれば呆れたように表情をかえる。
その座り方には、昔からの悍ましさと冷たさと暖かさが渦巻いているようであった。
正直、サディクとティノはイヴァンが苦手だった。
どこで、キレるか分からないし。ましてや、この世界が自分の物であるかのような言動も見られるとなると、どこまで信じていいかわからないからだ。
今、この時代、国々との信頼性は重要なものとなっている。
たがいに助け合っていかなければ生きてはいけないからだ。
すると、サディクが口を開き沈黙を破る。
「んー、おめぇは、アルフレッドの言うことは信じてるんでぇ??」
「僕..?もちろん。冷戦時代をやってきた僕らの信頼性は"異質"だからね。それに、もう時は進んでしまっているんだ。もぅ、僕らが歯車を止めることは出来ない。」
チクタクチクタク。
時計だけが呼吸をしていた。
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