日常其の二

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「もり…ちか…ほたる?」 「嫌か?」 ユウジは心配そうにそう聞いた、すると女の子は首をフルフルと横に振りユウジに向かって口を開けた 「…ううん…これ…いい…」 「そうか、なら今日からお前は森近 蛍だ、宜しくな蛍。」 ユウジは笑いながらそう言った 「……コクリ」 蛍は何も言わずに頷いた 「ハハハ、お前さんには似合わねえ役だな。」 幻斎がユウジをからかうようにそう言った…… ……ザワザワ…ザワ 「……どうやら急いだ方がよさそうだな」 「……森起きた…」 螢がそう言った瞬間木のツタが蛍に向かって伸びた 「ユウジ!」 「分かってる!」 ユウジは素早く蛍を抱き上げツタから離れた 「どうやらこの森は螢を出させないみたいだな」 「獣共も騒ぎ始めた、気を引き締めろ。」 ユウジは蛍を抱えたまま走り出した それを合図に森が一斉に襲いかかってきた 「ユウジ、俺に着いてこい」 幻斎はそう言い先頭を走り出した 「螢!しっかり捕まってろよ」 蛍はユウジが言った通り力一杯ユウジに捕まった、それを確認したユウジは全力で走り出した。 「親父、道は本当に大丈夫なのか」 「安心しろ、俺にはちゃんと“見えてる”」 そう言った幻斎の目はいつもより黒くそして紅くなっていた 「随分と便利そうな目だな」 「武士(もののふ)の目って言うんだ覚えとけ」 「一体どういう力があるんだそれは?」 ユウジは片っ端からツタや獣を避けたり、蹴飛ばしながら聞いた 「俺の場合、俺を中心に最高半径1kmは見たり感じ取る事が出来る」 「へぇ、それはべん―」バキパキパキ!…… 「…!ユウジ!」 幻斎が振り向いたらそこにはユウジの姿が無かった、森によってユウジと螢は引き離されたのだ 「チィ、はぐれたか…」 パキパキパキ 幻斎の前には木々達が幻斎をしとめようと構えている 「邪魔してんじゃねえぞ、植物が。」 ………… ……
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