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「見事に引き離されたな」
……さて、どうする…親父が来るまでここに留まるか否か…
ユウジがこれからどうするか考えていると何かに服の裾を引っ張られる感覚がした
「ん?どうした螢?」
感覚がする方へ顔を向けると螢がユウジの服の裾を摘んでいた
「あっち…何かある…」
そう言い、螢は何かがあるほうへと指を指した
「何かって何があるんだ?」
「…分からない…でも声が向こうに…集まってる…」
ユウジの質問に螢は首を横に交互に振りながらそう答えた
……そういえば螢は森の龍気の使い手だったな、何か関係があるのか……どのみちここに留まるのは危険だな…
「案内は出来るか?」
「うん…」
螢はユウジの手を握り歩き出した…。
手を握られたユウジは少し驚きどこぞと歯がゆそうな表情をしている…、そんなユウジの初々しい姿を首を傾げて見ている螢がいた
「そ、そういや螢はいつからこの森にいたんだ?」
「……分からない…小さい時、気がついたらこの森にいた…」
「そうか…」
「何度も外に出ようとした…けど結局無理だった…」
足を止め螢は悲しそうにそう言葉を放った
「小さい頃から…木の感情が何となく分かった…、だから…この森が私を逃がさない事が分かった」
うつ向いて喋っていた蛍が急に視線をユウジに向け言葉を続ける用に言った
「あの…おじさんに出会って…そして貴方に出会った…、ここから…出してくれると言った時……嬉しかった…」
「そうか…、それならとっととこの森を出ようぜ、外はいいぞ、とても楽しい場所だぞ」
蛍はユウジの言葉に頷き前に向いて案内の続きを始めた
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