日常其の二

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「螢っ!待っていろ!」 ユウジがそう声を出した先に、木によって吊るされている螢がいた。 …チッ、結構高い所に連れて行かれたな ユウジは足に気を溜めてとてつもないジャンプをして見せた …だけどまだ螢の所には届くことが出来ない。 …しかしユウジは何もない空中で再び跳躍をしたのだ。 『空を踏む歩行』故に《空踏(からふみ)》と言う 「ほう…やるじゃねぇか、ユウジの奴腕を上げたんじゃねえのか。」 ユウジは螢を捕まえているツタを持っている脇差しですばやく切り裂いた 「ワリィな、油断してた」 ユウジは自分の油断のせいで螢が捕まってしまったことを謝った 「…いい…助けて…くれた…」 「そうか……よっと。親父ー!」 ユウジは螢を抱き上げて地面に着地したと同時に叫んだ 「分かってるって」 幻斎はそう言いながら後ろから襲い掛かってくる植物達を音も無く切り崩した 「…たく、世話やかせやがって」 「親父ここに、奴らの本体がいるかもしれないぞ」 「根拠は?」 「螢があの大木に声が集まっているって言っていた」 「そうなのか?」 幻斎が蛍に問うと、螢は首を縦に振り頷いた 「…あの木は…私を狙っている。」 「…親父、螢を頼む。」 「一人で大丈夫なのか?」 幻斎はユウジにそう聞いた、ユウジは首の骨をパキパキと鳴らし一歩前に出て一言放った… 「余裕!」 そう言いユウジは物凄い速さで大木に向かって走り出した。 それと同時に大木も今までとは非にならない量のツタやツルそして岩に風穴を開けた植物を放ってきた 「芸が無いねーー!」 ユウジはそう叫びながら向かってくるものを片っ端から切り崩して行った 「目標をユウジに絞りやがったな…」 「………」 そう幻斎が言うと螢は自分の服をギュッと握って心配そうに見ていた ――ドスッ―! その時、一本のツタがユウジの腹部に突き刺さった、それによってユウジの動きが止まり次々と植物達の攻撃が体を蜂の巣にされた 「…!ユウジ!」 その姿を見て、無口だった螢は大声を上げていた
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