この星の存在意義

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少年が生まれた時には既に戦争は日常化していた為、貧民は生まれながらに兵士としての宿命を背負った者が多かったのです。 少年もそのうちの一人。  生まれながらに戦う使命を強制されるそれは奴隷そのものでした。  戦争を繰り返すその星では、階級の格差がはっきりと分かれていました。  星を統べる者を皇帝陛下。裕福に暮らす階級を貴族。その他は、兵士と奴隷と称されています。  皇帝陛下が争いを好み、手に入る物は全てを欲していたので、その意志は受け継がれ、いつの日か戦争が当たり前になったのです。  神の力をもっている少女は、物を生み出すことができても戦う術を知らなかったので、自分の力ではどうすることもできませんでした。  争いは終わることなく、永遠の命を持った少女は絶えることなく強制的に利用され続けます。 犠牲者は多くいても、その星は力をどんどん伸ばしていきました。 しかし、ある時、永らく続いていた栄光が終わりを迎えようとします。 それは、永遠の命さえも持つ少女の死でした。 崩壊を迎えようとするその時、星は涙を流します。 その星は“地球”という名前でした。
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