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「はぁ……はぁ……!」
雪の降る寒い夜、月の光に照らされて美しく輝く銀色の髪を揺らしながら、少女は何かから逃げるように走っていた。時々後ろを見ながら、追いかけてくる者との距離を確認する。
「待て!悪魔め!」
「逃がすか!」
(何で……どうして……!?どうして私が……)
少女を追う者は数人の大人。服装からすると何かの宗教の者のようだ。そんな者達が何故少女を追うのか……
少女には不思議な力があった。それは時間を操ったり、何もない状態から物質を造り出すという、あらゆる法則を無視する力である。
しかしながら、少女はその力を悪用しようともせず、滅多な事では使わなかった。では何故大人達はそんな少女を追うのか……
それは、いつ何が起きてもおかしくはない、だからそうなる前に異端な力をこの世から排斥しようという事だった。
「捕まえた!」
「!」
一人の男が少女の肩を掴む。少女は殺されると思うと、とっさに時間を止め男から離れると、時間を動かし再び逃げ始める。
「くそ、時間を止められたか!」
(あなた達が何もしなければ私だって何もしないのに……とりあえず何処かに隠れないと……ここにしよう……)
少女は大人達を振り切ろうと、隠れる場所を探す。すると、運良く窓が空いていた空き家を見つけ、その中に飛び込んだ。
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