8人が本棚に入れています
本棚に追加
「いないぞ!」
「あの様子だとまだそう遠くには行っていないはずだ、探せ!」
「……はぁ」
大人達は少女が隠れている空き家を通り過ぎていく。声が遠くなっていくのを確認すると、少女は安心したかのようにため息をついた。
「どうしてこんな事に……私は何もしていないのに……この力のせいで……!」
少女は自分に不思議な力があるせいで何もかもが狂ってしまった事を嘆く。
「この力が無ければ……私も……私の家族も普通に暮らしていけたのに……」
少女はそう呟くと、壁にもたれうずくまり、泣き始めた。少女の家族は、少女の事を匿っていたとされ皆殺されてしまった。少女がうずくまって泣いていると、前方に気配を感じた。
「どうかしたのかしら?」
「!?」
目の前に淡い紫色の髪をした女性がいた。少女より身長は低いものの、少女よりは年上に見える。
「そんなに驚かなくて大丈夫よ。私はあの大人達みたいにあなたを殺そうなんて思ってないもの。それに私はその力に興味があるの」
「興味……?」
女性は何処から見ていたのか、少女の力を見て興味を持ったらしい。
「そう。興味があるの。私みたいな魔法使いでもあんな事出来やしないわよ」
「魔法使い……!?」
少女は女性が魔法使い……つまり自分と同じように不思議な力を持つ者だという事に驚きを隠せなかった。
最初のコメントを投稿しよう!